はむはむログ

たのしい、かつ、たのもしい日記

全ての楽しさは安全によって支えられている の話

普通の日記です。

車、鉄道、新幹線、船…色々な移動手段ってあるのですが、やっぱり飛行機っていうのは乗り物として好きだと思います。苦手だった新幹線も最近好きになったのですが(独特のにおいが臭いから)、飛行機は昔から好きな乗り物です。割と古い男の人だと飛行機=落ちるというイメージから人生で一度も乗らない人もいて、そういう人は船旅をするらしいのです。私は小さい頃に祖父母の家に行くために飛行機に乗っていたので、恐怖心が無いのかもしれません。

飛行機に乗ると小さい子はおもちゃを選べて、家に着いてからそれでひとしきり遊ぶのが、私と兄弟の楽しみでした。キャビンアテンダント(当時はスッチー)のお姉さんはいつも優しくて笑顔で接してくれて、楽しい思い出しかありません。(微笑みかけられるということはとても嬉しいことです、私にはうまくできません!)。当時はEチケットなどもありませんから、乗った後の搭乗券の半券は記念に取っておいたりして、その半券は手帳に貼っておくと糊のせいか風化のせいなのか、印字が薄れたり黒く変色して、何が何だか分からなくなってしまうのでした。

周辺の土地の荒涼とした様子とか、建物の開放感とか床のつるつるした感じとか、空港には独特の雰囲気があります。夕暮れに空港に向かうと、人気の無い景色に照明や誘導灯だけが浮かんで、えも言われぬ寂寞感があります。流れるアナウンスやCAさんの制服、案内を知らせるチャイムも、空港らしさと非日常の高揚感を後押ししてくれるのです。

飛行場では大きな機体が全部おもちゃのように小さく見えて、あちらがぬるぬると動いていたと思ったら、こちらでは別の機体が今まさに空に飛び立とうとします。沢山集まっていた飛行機が広大な空へとバラバラに離散して、空港に集まった人々もめいめいの目的地に向かっていきます。刹那的な出会いと別れが交錯するひとときは、少しセンチメンタルなものです。それらを眺めているうちに、自分の乗り込んだ飛行機が少しずつ速度を上げて、身体にゴーッという大きな音と振動と慣性力を感じて、ふわりと飛び立っているのです。これほどの人と荷物を載せたものが空を飛べるということが、この歳になっても本当にすごいと思ってしまって、離陸の瞬間はいつも静かな感動を覚えます。旅慣れていない人間なので当たり前のことに心が動くのかもしれませんが、離着陸の時が飛行機は発明として素晴らしいとしみじみ実感する瞬間です。

今回はちょうど満月の前後の夜の時間帯に乗り、まん丸なお月様が漆黒の海の水面にくっきりと像を映していて、少し幻想的でした。それを見られたのは窓際の席だったからで、思わず周りを見ると、昼間の疲れからか席に埋もれるように寝ている乗客が多く、寂しいような贅沢なような気がしました。旅の過程を楽しめるのも、ひとえに安全が保たれているからです。2000年代になったというにも関わらず、私は家族が飛行機に乗る時も、無事を祈らずにはいられないのです。仮に私の乗った飛行機が落ちて、自宅のどうしようもない日記やメモ等が家族に見られたらと思うと顔から火が出そうになるので、定期的に処分した方がいいのかもしれません。今日も明日も明後日も、無事に飛行機が着きますように。